やっぱり手作りパンが好き

ご家庭でのパン作りをとことん応援します。長年のベーカリー経験とパン教室経験にもとづく、超解りやすい解説を心がけています。

良く使われている小麦粉の正体とは・・・

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ホームベーキングの方々にはあまり知られていないとは思いますが、大手製粉会社では、実に多くの種類の小麦粉が作られています。

パン用、麺用、菓子用などと用途に分かれてはいるのですが、その中でもパン用の小麦粉というのは、実に多品種が揃えられています。

パン用と言えば、通常は強力粉がメインとなる訳ですが、その強力粉だけでいったいどれだけの種類があることか??

あんなにたくさん作る必要が果たしてあるのか??・・・

そう言いたくなるほどの種類があるのです。

その違いと言うのは、グルテンの力とか量が微妙に違っていたり、原料の産地が違っていたり、はたまた製粉する際の部位(麦のどの部分を粉にするのか?)などによって味や色などが微妙に違っていたりと言う事で、とにかく使いきれないほどの種類が存在しているのです。

 

しかも製粉会社の数だけ・・・

 

色々な小麦粉をブレンドして、またはパンによって小麦粉を数種類使い分けているというパン屋さんも多いとは思いますが、どこのパン屋さんにも、メインとして使っている小麦粉というものがあると思います。

小麦粉にこだわるパン職人と、別に安ければ良いと言うパン職人と、特に違いには興味が無く、良いパンが出来ればそれでいいと言うパン職人もいる事でしょう。

何でメインを決めているのか・・・・それこそ職人の数だけ、お店の数だけの考え方があると思います。

ご家庭でパンを作られる皆様はいかがでしょうか?

何を基準に小麦粉を決めているでしょうか?

かく言う私は、現在までに使用した事のある小麦粉の種類と言えば、試作を除けば10種類程度だと思います。

それが多いのか少ないのかは、まったく解りませんが・・・

そして、使用する小麦粉の、いわゆるランクが同等の物であるならば、製パン性や味にそれ程の違いは感じていませんでした。

総じて大手の小麦粉は美味しいもの、そして製パン性は絶対であるという思いがあったからです。

また、大手以外のそれぞれの地方にある小さな製粉会社の小麦粉というのは、そもそもその情報すら入ってきませんし、ホームページを開設していない限りは、その存在を知る由もないわけです。

ですので、製パン問屋さんでもほぼメインで取り扱っているのは大手の小麦粉であり、とりあえず地元の製粉会社の小麦粉も一部だけ置いてある・・・程度なのでした。

地元製粉会社の小麦粉というのは、問屋さんと言うよりもむしろ道の駅などの方が取り扱いは多いと思います。

また、ネット販売でもやはりメインは大手の小麦粉ですよね。

ですので、よほど通の方でない限りは、選択肢は非常に狭いのが小麦粉だと思うのです。

そんな、選べるようでいて選びようもない小麦粉たちですが、ここではさらに小麦粉の正体にせまっていこうと思います。

 

小麦粉ってどんな小麦から作られるの??


パン職人の道に入って、まず最初に勉強させられるのが ”小麦粉” ではないかと経験上感じてはいるのですが、その種の文献や教材は非常に難しく、しかもダラダラと長ったらしい説明のため、最終的には何が何なのか解らなくなった・・・というのが正直なところでしたね。

ということで、ここではあえてアホならではの視点で、必要最低限の説明をさせていただきたいと思います。

 

大手、ほぼほぼ大手などを加えますと、各製粉会社が作り出している小麦粉の種類と言うのはひじょ~にたくさんありますよね。

もうほとんどの方がそれ位は知っているよ・・・と言う認識の分け方で言いますと、小麦粉には一般的なパン用の粉である強力粉、そしてそれよりもワンランク力の強い最強力粉、そして力はそこそこしかないけど味に自信があるものが多い中力粉、そしてパンではなくお菓子とか天ぷらなどに使う力の弱い薄力粉というものに分けられます。

これらの小麦粉は、各社それぞれ色々な名前で売られている訳ですが、そもそも小麦粉の原料である小麦って、そんなに多くの種類があるものなのでしょうか?

 

ということで、まずは簡単にその原料である小麦について触れておきたいと思います。

 一口に小麦といっても、いろいろな分類方法があります。

例えば、栽培する季節に注目すれば、秋に種子をまいて、翌年の夏頃収穫するタイプを「冬小麦」とよび、春にまいて秋に収穫するタイプを「春小麦」といいます。

ビールなどにもよく冬小麦使用とか書いてあったりして、季節限定商品として売れ出されていますが、やはり味はそれぞれ違うものになります。

一番よく使用されている分類法は、小麦の粒の硬さによるものですで、粒が硬い小麦は「硬質小麦」、軟らかい小麦を「軟質小麦」そして、普通程度の硬さの小麦を「中間質小麦」と呼びます。

また一般に、小麦の硬さは、その中に含まれているたんぱく質の量に比例します。

つまり、たんぱく質が多く含まれている小麦が「硬質小麦」、少ないものが「軟質小麦」、そして、中程度のものが「中間質小麦」ということになります。

 

ポイント

そして「硬質小麦」からとれた、たんぱく質を多く含んでいる小麦粉を「強力粉(きょうりきこ)」、同様に「中間質小麦」からとれた小麦粉を「中力粉(ちゅうりきこ)」、「軟質小麦」からとれた小麦粉を「薄力粉(はくりきこ)」と呼ぶわけですね。

 

パン用の代表的銘柄としては、カナダ産の1CW(No.1 Canada Western)、そしてアメリカ合衆国産のHRW(Hard Red Winter)があり、どちらも年間100万トン以上輸入されています。

また菓子用としては、アメリカ合衆国産のWW(Western White)が有名です。

私たちがもっとも、よく利用する麺用に適した中力粉は、主としてオーストラリアで栽培されるASW(Australian Standard White)という「中間質小麦」から作られます。

ということはつまり、メインの輸入国はカナダとアメリカとオーストラリアの3国で、その種類としては1CW・HRW・WW・ASWの4種類が圧倒的多数を占めているということになるのです。

このなかで、中力粉というのがオーストラリアから輸入されていますが、それはほとんどがうどんやラーメンなどの麺用であって、パン用の中力粉とはちょっと違うのです。

 

私個人としては、この麺用の中力粉でフランスパンを作ったりしますが、一般的に製粉会社が販売している、いわゆるフランスパン専用粉というのは、この中力粉を使用している訳ではなく、独自に中力になるようにブレンドを行っているのです。

 

ブレンドって? 色々な種類の小麦粉を混ぜて使うことじゃないの・・・?

 

と思われるかもしれませんが、そのブレンドとは違って、一つの小麦粉を作り出すためのいわゆる配合のことなのです。

どういうことかといいますと、例えば皆さんよくご存じの ”カメリヤ” という小麦粉がありますが、あれが例えばカナダ産1CWだったとしたら、他の例えばスーパーカメリヤとか、スーパーキングとか、ヨットとか、その他全社合計100種類以上はあるであろう強力粉はいったいどれを使っているのか、もし同じ1CWを使っているとしたら、名前こそ違うけれども皆同じ小麦粉ってことになるのではないか??・・・ということなのです。

 

もう少し掘り下げて説明しますね。

 

例えば米の場合、米そのものが非常に硬いために、周りの糠を削り取るだけで白米になりますよね。

米の種類が同じであれば、どこの地方の精米所で精米したとしても、それは間違いなく同じ米ですから、味も全く同じものになります。

しかし小麦というのは米と違って非常に殻の部分が硬く、逆に白米の部分にあたる胚乳はとても柔らかいので、殻だけを削ると言う訳にはいかず、一度水でふやかして皮を柔らかくしてから潰しながら殻を取っていくことになり、これがいわゆる製粉と言う工程になるのです。

潰しただけでは皮の部分が奇麗にははがれないため、何度も何度もふるいにかけられて、様々な粒の大きさに分けられ、より中心部の白いところ、より皮に近い黒い部分などにも振り分けられるのです。

 

小麦粉の品質をあらわす重要な指標のひとつに「灰分(かいぶん)」があります。

小麦粉を高温で燃やしたときに、その主成分であるたんぱく質、でんぷん、脂質などは燃えてなくなりますが、一部は燃えずに灰として残ります。

これが灰分とよばれるもので、その実体は小麦粉に含まれている、リン、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄などのミネラルです。

一般に灰分量の少ない小麦粉は冴えたきれいな色をしていますが、多くなるにつれて、灰白色のくすんだ色になり、多すぎると麺やパンにした場合に、舌ざわりが悪くなるといった欠点もあります。

灰分が多いということは、ミネラルも多いということなので、栄養的にみればいいことなのですが、このような理由により、実際は灰分の少ない小麦粉が好まれます。

そのせいか、灰分の少ない小麦粉は上級粉、多い小麦粉は下級粉と呼ばれたりしていて、価格もかなり違うのです。 

POINT

このようにして、小麦の粒からは何種類もの 「色の違い」とか「力の違い」とか「粒の大きさの違い」の小麦粉が出来上がります。

そして、それらをどう組み合わせて、配合させて、どんなパンを作るために向いている小麦粉にするか・・・と言うのが、各製粉会社の企業秘密になっているのです。

つまりです、小麦粉というのはそのほとんどがすでにMIX小麦粉だということなのです。

それに反して・・・と言う訳ではないのですが、地方の小さな製粉会社だと、このブレンドと言う工程を行わない場合が多く、地元の小麦から作った単一の小麦粉であることが多いのです。

さらに、モノによってだとは思いますが、小麦粉と言うのは製粉してからしばらく時間をおかないと、酵素活性が不安定になるので、ミキシングなどが安定しにくく、パンのふくらみにも違いが出ると言われています。

小規模な製粉所では、このエージングと言う作業はあまり行わないところが多いらしく、それゆえの良さもあるという意見もある一方、不安定感もつきまとうのです。

 

まとめ

米と言えば糠を取って、米そのものに水をいれて炊けばごはんになるわけですが、小麦というのは粉になるまでには随分と様々な工程が必要であり、その工程のおかげで科学的にも安定したMIX小麦粉を作ることができると言う訳なのです。

 

皆様は小麦粉の袋によく「無添加」とか「無漂白」などと書かれていることをご存知でしょうか。

それ位、何かを作るために特化した性能を求めて何かを「添加」している小麦粉や、より上級の小麦粉であると言いたいがためなのか、なぜか漂白されているものもあるようですね。

まあ、パン用の小麦粉だけではなく、てんぷら粉と言うものがあると思えば、「コツのいらないてんぷら粉」というものもあり、よりカラッと揚がるような物質が添加されているわけですね。

ホットケーキミックスやたこ焼きミックスというのも同じですね。

 

相変わらず白くてフワフワしたパンが好まれる現代ですが、あまり意図的に配合された小麦粉は使いたくないと私は感じますし、いわゆる下級の小麦粉とか、国産小麦の自家製粉したものの美味しさにこそパン本来の味わいがあると感じてなりません。

とは言え、それらの大手以外の小麦粉と言うのは、正直とても不安定ですし、ご家庭でのパン作りに向いているとはとても言えません。

ですので、お使いになる際には、大手の小麦粉に20~30%ブレンドして使うようにすると、いつもと少し違った味わいが出ると思いますよ。

 

日本製粉のサイトで小麦粉の種類をチェックしてみましょう。

https://www.nippn.co.jp/pro/


こちらは小麦粉のカタログが見れます。

種類の多さにビックリしますよきっと。

日清製粉 - 食材カタログcom

 

ただし、これらの業務用小麦粉は少量販売はほとんどされていません。

お近くの製パン製菓の問屋さんを探して、25kgの袋を分けてもらうしかありませんが、すべての種類は取り扱っていませんので、やはりよく聞く名前の小麦粉になってしまうとは思います・・・ごめんなさい。

あと、これは裏技なのですが、お近くのパン屋さんに行って常連になれば、きっと安く分けてくれると思いますよ。