やっぱり手作りパンが好き

ご家庭でのパン作りをとことん応援します。長年のベーカリー経験とパン教室経験にもとづく、超解りやすい解説を心がけています。

天然酵母と食の安全は別物です・・・

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こちらのパンは天然酵母??・・・ あ~ら違うの??残念だわ~・・・私はいつだって天然酵母のパンしか食べないようにしているのよ~ ガッカリだわ~・・・それじゃ~・・・(ー_ー)!!・・・ たまにこんなお客様がいらっしゃいます。

でもまだ、このお客様は天然酵母の方が美味しいし自分に合っているとお考えなのでしょうから、それはそれで大変結構な事だと思います。

それよりも、天然酵母のパン以外は身体に悪いと思い込んでいるとしたら、その考え方が問題だとは思いますが・・・

さらに、「こちらのパンは無添加??・・・あら違うの??・・・残念だわ~」 と言うお客様もいらっしゃいます。

どうやら、天然酵母のパン=無添加=安全という連立方程式 (@_@;) が成り立っているようですね!

そのような方々には、 イースト菌のパン=添加物いっぱい=口にするべからず という方程式が出来上がっているようです。

 

食品添加物も農薬もすべて危険。

外国からの輸入食材は、輸送段階の農薬散布があるので危険。

化学的に合成された物も危険。

作り手の顔の見える、国内の信用出来る食材のみを使った安心で安全なパン作り。

具材はすべて自家製。

酵母も自家製で、小麦粉は石臼で挽いて自家製粉。

水は天然水で、パンに入れる野菜類は無農薬自家栽培。

ドライフルーツはオーガニックを独自ルートで輸入 ・・・

そうでないと安心安全とはいえない・・・

 

どうしてそうなるのでしょうね~

別にそれはそれで、商品の個性としてお店のオリジナリティを出す為のものであるとは考えてもらえないのでしょうか?

やれ殺菌だ滅菌だ消毒だ~

少しでも疑わしきものは口にするな~

そんな片寄った発想が、現代の子供たちのアレルギーの過剰反応の原因であるような気がしてならないのは私だけでしょうか??

泥だらけの手でお菓子を食べていた少年期の私・・・・片方の手にはミミズ、片方の手にはおむすび・・・ 時代は違っても、その方が色々な菌への免疫が付くような気がするのですが・・・

殺菌とは、手に着いた乳酸菌も殺す訳です。

人間の体の中にはたくさんの菌がいて、いい菌も悪い菌も、どちらもいるからバランスがとれていて、悪い菌が暴れれば良い菌が出動してこらしめる。

そんな免疫活動を繰り返して、丈夫な身体になって行くのではないかと思うのですが・・・

 

いやすいません、ジジイの独り言です・・・

 

天然酵母もイースト菌も、生まれは違えど最後に活躍するのは サッカロミセス セルビシエ ハンゼン に属する有能な酵母菌達です。

天然酵母の場合はこの菌の他にも、例えば乳酸菌のように明らかに身体に良い菌が豊富に含まれていたり、逆に身体にはお世辞にも良いとは言えない雑菌達がわんさかと共存しています。

化学的に培養されていないから安全とはいうものの、いったいどのくらいの雑菌を一緒に食べているのかは確認する事ができません。

しかし言えるのは、雑菌がゼロと言うのはありえないという事だけです。

幸いパンという食品は、すべて熱により殺菌されている訳で、多少の雑菌がいても、即座にお腹が痛くなると言う事がないために、比較的問題にはなっていないのが実情ですが、もしパンが生ものであったなら・・・ 天然酵母のパンで下痢続出・・・となるのは間違いありません。

というよりも、保健所の認可がおりませんね!

口にする前から、すでにツ~ンと酸っぱい香りがしているパンがよくあります。 酢酸菌という聞くからに酸っぱそうな名前の菌が多くなると、パンは凄まじい酸っぱさにおおわれてしまいます。

天然酵母のパンによくある風景なのですが、種を継ぎ足したりするとよくあらわれる症状なのです。

しかし、そんな酸っぱいパンでも、だからこそ天然酵母なのだと言い張って販売しているお店と、それを馴れれば美味しいといって買い求めているお客様を見るにつけ、悲しい気持ちになります。

実は個人で作る場合は、種を継ぎ足すほど大量には作らないでしょうから、あまり失敗はないのが天然酵母なのです。

しかし、お店になるとそこそこ売れますので、このようなことになる場合が多いのです。

天然酵母も、ホシノ天然酵母のように基本から作り方が書かれていて、尚且つ安定が保証されている物なら、何の問題もありません。

でも、そのホシノ天然酵母でさえも、使い方を間違えると酸っぱくなるのです。 天然酵母のパンを作る事自体は誠に結構な事だと思いますが、軽はずみに手を出せるほど簡単なものではないと言う事だけは言わせていただきたいと思います。

しっかりとした技術と知識を持ち合わせたお店を選んで買わないと、 安全を買うつもりが雑菌を買っていた なんてことになります。

イースト菌が、パンを発酵させるのに必要な酵母菌の集合体であるとするならば、 天然酵母は、使用する素材によって発酵過程に発生する副産物の香りの違いをかもしだすことの出来る、旨味と風味をミックスした酵母菌であると言えると思います。

ただし、菌数が少ないので発酵に時間がかかる。

と言う事は、別に安全とか安心とか言う問題ではなく、 両方を併用していい所を生かすと言う考え方になれば・・・

実際そのようにプラスアルファの風味を添加すると言う意味で天然酵母を使っていると言うお店もたくさんあります。

実に素晴らしいと思います、その片寄らない考え方・・・

また近年、YouTubeやホームベーキングの書籍にも、たくさんの「簡単自家製酵母」なるものが出回っています。

そのお陰で・・・だと思うのですが、質問の中にも自家製酵母での失敗談が多くなってきています。

自家製酵母で腹痛を起こさないのは、ぶっちゃけ焼いているからです。

しかし、現実問題としては、かなりやばい菌をも同時に体内に入れている可能性が高いことだけは事実です。

自家製酵母と言うものが巷でつくられるようになって、かなり長い年月がたちますが、いまだにそれで病気になったというような話は聞きません。

しかしそれは、ある特定の食品添加物だけを差して、それを食べて死んだ人がいるということを立証できないのと同じで、雑菌という人体にとって影響があるのかないのかが立証されてはいないものを体内に入れてしまっていることだけは確かなのです。

菌というのは目には見えません。

そういう意味では新型コロナウイルスと同じで、どこに良い菌がいてどこに悪い菌がついてしまっているのかも確認することは出来ない訳です。

パンにすれば焼いてしまいますので、パンそのものは殺菌になってはいますが、その菌がキッチンの、あるいは冷蔵庫の中でどう繁殖しているかは分かりようがないのです。

ですので、腐ったような味のパンを販売してしまっているお店を何度か見てきた私の経験からすると、しっかりとご家庭の衛生管理だけは気を付けて作っていただきたいと思います。