やっぱり手作りパンが好き

ご家庭でのパン作りをとことん応援します。長年のベーカリー経験とパン教室経験にもとづく、超解りやすい解説を心がけています。

生地玉冷蔵のフランスパン

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すっかりご無沙汰になりました・・・涙涙

誠に嬉しい限りではあるのですが、寝る時間を確保するのが精一杯なほどの忙しい職場におりまして、とても自宅でパンを作る余裕がないため、久々の登場となった次第です。

今回ご紹介するフランスパンは自宅で作ったわけではないので、ホームベーキングの方向けのこちらのサイトで紹介するべきか悩んだのですが、どうしてもご家庭で作っていただきたいという思いと、実際にとても売れていて、なぜそこまで売れるのかという点まで合わせてご紹介しておきたいと考えました。

シンプルと言えばあまりにもシンプルなフランスパンではありますが、噛みしめるほどになんとも香り高い、そして味わいのあるパンだと言えます。

 

今回はあえて天板で焼いたバージョンをご紹介しておきますので、ご家庭では恐らく一本から二本程度しか焼けないとは思いますが、サイズは小さくしてもかまいませんので、お試しいただけたらと思います。

 

 ではまず配合から

  

 <ベーカーズパーセント>

  

リスドォル       100%(日清製粉ハードロール用粉)

塩            2%

インスタントイースト 0.8% (サフ赤ラベル)

ユーロモルト     0.3%(なければいらない)

発酵種         20%

水           60%

 

粉は長年愛用しているリスドオォルですが、ほとんどのお店で売られている小麦粉ですのでご存知の方も多いと思います。

風味豊かで、しかもとても扱いやすく、何よりも味が良いと感じています。

他のフランスパン専用粉をお使いいただいても全く構わないのですが、今回ご紹介するのは冷蔵庫での低温発酵製法ですので、使用する小麦粉によっては水の加減や冷蔵に向かないものもあるかもしれませんので、そこだけはご了承ください。

 

リスドォル(日清製粉) / 1kg

 

また前回もご紹介しましたが、ユーロモルトや粉末のモルトというのは特別に入れなくても大丈夫なのですが、フランスパンに関しては発酵にも影響があり、さらに風味が良くなる、色付きが若干濃くなる、甘味が出るという利点がありますので、もしフランスパンが好きで良く焼くという方は揃えておいた方が良いでしょう。

 

モルトシロップ(ユーロモルト) / 180g

 

 

発酵種に関しては以下を参考にしてください。

 

www.sizuasa.com

 

今回の配合では、発酵種を使うこと、そして水が少ないということが特徴となりますが、冷蔵発酵の場合は水分量と言うのは非常に重要になってきます。

また、発酵種を入れることによって、生地がダレたりすることを防止できますし、焼き上がりのボリュームにも影響があります。

冷蔵庫を使った製法ならではの旨味が特徴のパンとなりますので、少々硬い生地になりますが頑張って捏ねていただきたいと思います。

生地作り

発酵種以外の材料をボールへ入れて混ぜていきます。

粉っぽさが無くなるまでよく混ぜたら、発酵種も入れてよく混ぜます。

生地がひと固まりになりましたらボールから取り出し、体重をかけながら揉み込んでいきます。

体重をかけながら何度も畳むように揉み込んでいき、叩いたりズリズリする必要はありません。

いつも菓子パンやロールパンなどで行っている「薄い皮が張るまで捏ねる」というようなことはせず、硬めの生地ですのでしっかりと揉み込んでいきましょう。

約5分も揉めばOKで、生地はベタベタのままだと思いますが、そのままボールへ移してラップやビニールで蓋をして、第一発酵を20分とっていきます。

捏ね上げる温度はハード系の場合は平均的に24℃くらいが理想となります。

冬場はどうしても発酵中に冷えたりしますので、食器棚の上とか冷蔵庫の上とかの温かい場所で発酵させましょう。

 

パン屋さんの場合は

全てを投入して低速4分中速4分程度でOKです。 発酵工程はノーパンチ60分で分割に入ってください。捏ねる量によってミキシングは変わってきますが、いつものフランスパンよりは中速を長めにして良く捏ねるようにしてください。配合にはありませんがBBJなどの冷蔵生地用改良剤を添加した方が明らかにボリュームが出ますので、0.1~0.2%添加で様子を見て下さい。

 

 パンチ①

いつもご紹介している通りパンチで生地を作っていきますので、捏ねて20分経過した生地をボールから取り出して丸め直す、あるいは多めの場合は畳んでいきます。

まだ若干ベタベタはしていると思いますが、構わず丸め直して、表面をきれいにしてまたボールに移し、再び20分発酵をとります。

 

パンチ②

発酵から40分経過しましたので、若干べた付きもなくなり膨らみも出てきたと思います。再びボールから取り出して丸め直すか畳みなおしますが、これが最後の丸め直しになりますので、べた付くようでしたら手に粉を付けながら表面を滑らかにしてボールへしまってください。

この時ボールに生地が残っているようでしたらしっかりカードなどで取り除き、キレイなボールに滑らかになった生地を入れるようにしましょう。

この後は20分発酵をとって分割を行います。

合計60分の発酵時間となります。

 

分割丸目

画像のフランスパンは一本220グラムで分割しています。

もっと小さくても構いませんが、天板に乗せる間隔にはご注意ください。

 

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こちらは6取り天板といってパン屋さんで使用している天板ですから、220グラムでも8個乗せることが出来ますが、ご家庭ではいつもご使用されている天板に合わせて乗せる数を調整してください。

冷蔵庫でかなり膨らみますので、生地どうしがくっつかないように十分な間隔をあけて下さい。

なお、天板は必ず金属製のものをご使用していただき、ビニールを敷いた上に生地を乗せるようにしてください。

丸目はしっかりときつく丸めて、ガスを十分抜くようにしてください。

あとはビニール袋で天板ごとくるんで、翌日まで冷蔵庫で保存します。

 

成形

翌日使用する時間までに復温を行いますが、フランスパンの場合はここがとても重要となります。

生地の温度が必ず16℃以上22℃位までの温度になってから成形を開始してください。

もし冷たいまま成形を行ってしまいますと、確実にベタっとしたパンになってしまいますし、生地温度を上げ過ぎてしまうと、今度はボリュームが出過ぎたり、とじ目が開いてしまったり、クープが荒れてしまいます。

成形している最中に生地に弾力があることを確認しながら行い、もし弾力がない ようなら捏ねる際のパンチをもっと強めに行い、逆に弾力がありすぎて生地が伸びないような場合は、捏ねる際のパンチを弱めに行うようにしてください。

復温は必ずビニール袋で天板ごとくるんだ状態で行い、夏場なら常温で、冬場なら暖房の効いた部屋の冷蔵庫の上とか食器棚の上とか、温度の高い場所を探しましょう。

30℃位の温かい場所なら、一時間もすればかなり温度はあがってくるはずです。

100グラムに満たないよう小さな生地なら、30分くらいで16℃以上になると思います。

復温に時間をかけすぎてもいけませんし、あまり高温で短時間過ぎてもいけません。

 

ここが重要

冷蔵庫を使った製法の場合、復温後の生地の状態がどのような状態なのかによって出来栄えが全く違ってきます。べた付いたり伸びすぎたりする場合は冷蔵前の生地捏ねが弱いということになり、逆に弾力があり過ぎたり伸ばしずらいほど力の強い生地だった場合は冷蔵前の捏ねが強すぎたということになりますので、復温後の生地状態を自分の好みの状態にするべく、生地の捏ね方などを工夫してみて下さい。

 

 

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フランスパンと言うのは、どのようなオーブンで焼くのか、スチームの性能はどうかによってまったく違うパンになってしまいます。

がしかし、それは各ご家庭でもパン屋さんでも今あるもので行うしかない訳ですから、そこは工夫して、クープの鮮やかなパンにするか、それが無理そうなら簡単な成形やクープにするか、丸いだけのブールを作るか、あるいはプチパンにするかの判断が必要でしょう。

無理に機能以上のものを求めても、楽しくなくなってしまいますので、出来る限り高温短時間で焼成する、蒸気を工夫する と言うことだけに集中していただき、とにかく美味しいパンに仕上げていただきたいと思います。

画像は6取り天板に220グラムの生地を 4本乗せています。

残念ながらスチーム性能は良くないことに加えて、スリップベルトがない為に天板に乗せて焼いていきます。

 

最終発酵(ホイロ)

パン屋さんであっても、フランスパンの生地を上手に発酵させることが出来ないお店は非常に多く、クープなんて開いたり閉じたりでとても悲しい気持ちになることが多々あります。

クープがきれいに開いているかどうかと言うのは、そのこと自体は美的センスの問題ではあると思うのですが、気にしていただきたいのは 生地状態がどうなっているか という点なのです。

つまり、生地状態が良くなければいくらクープが上手でもきれいに開いてはくれませんし、逆に生地状態が良ければクープが例え開いていないとしても、あるいはバラバラな状態だとしても、パンとしては美味しく完成するということになる訳です。

出来ることならクープの美しさも、そしてパンそのものも最良の出来で完成させてあげたい訳ですが、ご家庭では少なくともクープを気にするのではなく、生地状態が最良であるかどうかを気にするべきだと私は思います。

 

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さて、私の職場では生地に小麦粉をふりかけ、このようにクロスにクープを入れています。

なぜかと言いますとスチームの性能が今一つなので、より鮮やかに割れやすくするためにこのように切り口を多くしているのです。

また、天板で焼くとクープが開きづらくなるなるので、通常のバタールなどのようなクープではなくクロスにしているのです。

 

一番初めの画像でおわかりのように、通常のフランスパンのようにしっかりと焼き込むということはせずに、クラストの薄いパンに仕上げてあります。

本来なら色つやがなくぼけた印象になりがちですが、粉を多めに降ることで鮮やかに見えますよね。

サイズも小柄で買いやすいという点と、クラストがサクッとしていて引きのないフランスパンになっていますので、スライスの際に表皮が剥がれ落ちることもなく、それでいて噛みしめるほどに味わいのあるパンだと高評価をいただいています。

 

 生地を冷蔵保存することによって低温熟成が行われ、本来なら時間のかかるフランスパンが成形から行えることで、パン屋さんのオープンにも間に合う製法となっています。

ご家庭でも朝から焼き立てのフランスパンが出せる製法となっていますので、是非お試しいただきたいと思います。